『臥龍梅』 蔵便り   平成十六年如月

拝啓 暦の上では春を迎え随分と日も伸びてきましたが、本格的な暖かさはまだまだ先のようです。皆様お元気でお過ごしでしょうか。

先ずは蔵の近況をご報告いたします。昨年末にもとをたてた大吟醸を先月の11日から連続8本仕込みました。原料米はすべて兵庫県産の山田錦で、大半が精米歩合40%のお酒です。昨年は夏前にほとんど売り切れてしまい、需要期の秋冬には在庫がすっからかんの状態でしたが、今年はそのようなことのないよう努めます。この場を借りてあらためてお詫びいたしますとともに、引き続きご愛顧のほどお願い申し上げます。1月14日に留め仕込みを行った1本目の大吟醸が、2月5日、醪日数23日の時点でアルコール度数13.9%、日本酒度-14まできました。もう2週間ほどひっぱる予定ですが、菅原杜氏も今が頑張りどころと気合をいれて酒造りに取り組んでいます。
先月の23日には名古屋国税局鑑定官室の高原室長が来場指導してくださいました。先生のお話では、今年の名古屋局の鑑評会では結審の利き酒は燗酒で行う予定だそうで、それも50℃近くの熱燗にするそうです。先に報道されているとおり、酒類総合研究所が広島で主催する全国酒類鑑評会でも今年は昨年までとは違った審査方法が検討されております。醸界新聞等によりますと、「まず、成分分析を行ってカプロン酸エチルの含有量で出品酒をグループ分けし、その後利き酒審査をする」方向だそうです。
こうした情報が入ってきますと何となく落ち着かない気分になりますが、吟醸酒造りの本道を踏み外すことなく精進していれば自ずと結果は出るはずだと自他共に戒めております。いずれにせよ、60%精米の市販酒も鑑評会出品酒とまったく同じ労力を注いで製造するのが「臥龍梅」製造の基本方針です。

さて、今年も早々酒の会への参加が一件決まりました。3月26日(金)、「リーガロイヤルホテル東京」で開催される日本酒イベントです。詳細はあらためてご案内いたします。

今月は静岡県産山田錦で造った純米吟醸酒と特別本醸造酒の無濾過生原酒をご案内いたします。香りのふくらみは山田錦ならではのものです。是非ともお試しください。

春とはいえまだまだ寒い二月のこと、おからだをたいせつに。                敬具
平成十六年二月吉日                                鈴木克昌

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