『臥龍梅』 蔵便り   平成十六年神無月

拝啓 仲秋の候、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。今月は思いがけないニュースが飛び込んできましたので、ご報告いたします。
まず、写真をご覧ください。これはヒマラヤ山脈の高所で撮られた写真なのですが、何と当社のお酒「大親分」が写っております。どういうことかと申しますと…今年の夏、静岡県山岳連盟が西崑崙登山隊を編成し、カラコンロン山群の主峰の初登頂に成功いたしました。これは、はるばる日本から持参したわが「大親分」を手に、これから臨む未踏峰を背景にして立つ隊長、出利葉 義次(でりは よしつぐ)さんの勇姿なのであります。
「イスラムの香り漂う、中国新疆ウイグル自治区のカシュガルは、古くから東西文明の交わるシルクロ−ド要衝の街。そのカシュガルから南へ約二百キロ、車で6時間ほど走れば広大なパミ−ル高原と崑崙山脈西部が接する山域がある。カラコンロン山群と呼ばれるこの山域は六千m級の小さな山群だが、これまで一度も登山を試みた登山隊はなく、まったく未知の山域である。6,355mの主峰は、南面は岩稜、岩壁に囲まれた急峻な山で、南側から登るには困難な山だと思われる。」
2004静岡県山岳連盟西崑崙登山隊計画書 より
まずは初登頂おめでとうございます。同時に、よくぞはるばるヒマラヤの高峰まで当社の酒を持って行ってくださいました。酒の造り手としては、わが子が連れて行ってもらったような嬉しい気持ちです。素人考えでも、何しろ登山の荷物は1グラムでも軽いほうが良いのに決まっているのですから。それを、1.8L容器で一本どころか何本も持って行ってくれたのです。もしかしたら最も高い所で飲まれた日本酒としてギネスブックに記録を申請できるかもしれません。(ちなみに「大親分」は地元静岡で販売している紙パック容器のお酒ですが、経済酒ではありませんので悪しからず。)

 お知らせすることがもうひとつあります。日本文芸社から「日本酒ベストセレクション350」という本が出版されました。当社の「臥龍梅」は「吟醸50無濾過原酒」と「特別本醸造無濾過原酒」の二点が紹介されており、どちらもお褒めのお言葉をいただいております。著者の太田和彦さんは東北芸術工科大学の教授で、これまでにも日本酒関係の本を多数出版されており、夕刊紙「日刊ゲンダイ」にコラムを連載し、スカイパーフェクトTVにも出演している有名人だそうです。書店で見かけたらまずは立ち読みしてみてください。
 さて、今月は火入れの大吟醸無濾過原酒45と同じく火入れの純米吟醸無濾過原酒をご案内いたします。秋の夜長を愉しむのにもってこいのお酒です。
深まり行く秋、皆様ご自愛ご専一に。                          敬具

平成十六年十月吉日                                鈴木克昌
 

戻る