『臥龍梅』 蔵便り   平成十七年霜月

拝啓 向寒の候 皆様いかがお過ごしでしょうか。温暖の地、静岡でも日増しに寒気が加わり、今年も酒造りにもってこいの季節となりました。
始めに、この場を借りてお詫び申し上げます。「臥龍梅」の主力商品である55%精米の純米吟醸無濾過原酒と特別本醸造無濾過原酒が好評につき先月中旬に完売、品切れとなりました。清酒の最需要期を迎えた今、ご注文にお応えできず、誠に申し訳ありません。富山県産五百万石を用いた新酒を間もなく発売いたしますので、もう少々お待ち願います。

営業面でのご報告をいたしますと、各種お酒の会の「取り」のイベントとして10月21日(金)に地元、清水で「駿河路酒メッセ」を開催いたしました。これは清水酒造組合の会員4社で毎年秋に開くもので、今年ではや10回目を迎えました。回を重ねるごとに盛況となり、今年は入場券を早くに完売しました。どうしてもというお客様のために工夫して席数を増やしましたが、おのずと限度があり、残念ながら最後にはお断りすることになりました。お酒はもちろん飲みほうだい、地元、SBSテレビのアナウンサーやタレントに助っ人をお願いして数々のアトラクションを織り交ぜ、空クジなしの大抽選会でお帰りには全員にお土産つきというお酒の会ですので、人気が出て当然かもしれません。小生は酒造組合の幹事役を務めていることもあり、成功裡に終わってほっとしております。蔵ではすでに造りに入っているのですが、毎年このイベントが気がかりで、終了するまでは製造にも販売にも専念できません。

製造面でのご報告に移りますと、10月5日に杜氏が蔵入りし、8日には洗米着手、17日には1号の留めを仕込みました。その間、市内、栄松院の住職を招き、庫内で恒例の醸造祈願祭を取り行って今年の酒造りの無事を祈りました。写真をご覧ください。毎年のことながら、住職の吹くほら貝の音が蔵の中にこだまするのを聞きますと、身が引き締まる思いがいたします。その後、吟醸酒ばかりを半仕舞いで連続10本仕込みました。11月6日現在で1号の仕込みはアルコール度数15.3%、日本酒度−2まで、2号の仕込みはアルコール度数14.9%、日本酒度−6までキレてまいりました。タンクの上から醪をのぞきますと、「臥龍梅」特有の芳醇な香りが湧いてまいります。どうやら今年も皆様のご期待にそえるようなお酒ができそうです。また、今年は微発泡性の低アルコール酒を新発売する予定です。あと1週間ほどで上槽予定の純米吟醸無濾過原酒、特別本醸造無濾過原酒とあわせて、どうぞお楽しみに。
冬将軍の到来も間近、お体をお大切に。                         敬具

平成17年11月吉日                                鈴木克昌

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