「臥龍梅」蔵便り    平成十八年睦月

拝啓 例年にない寒さですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。列島各地で大雪が降り続き、降雪による被害が報じられております。ここ、温暖の地静岡でも12月以降かなり冷え込み、正月休み明けにはなんと粉雪が舞ってまいりました。被災地の皆様には申し訳ありませんが、寒造りと言うくらいで、酒の仕込みにはもってこいの気候となりました。

ご承知のとおり蔵には大晦日も正月休みもありません。とは言え、初詣にも行かないでは新年になった実感も湧いてきません。そこで醸造祈願の意味も込め、3日の午後、杜氏以下蔵人3名を伴って久能山東照宮にお参りに行ってまいりました。晩年は駿府城に隠居していた徳川家康ですが、元和2年(1616年)に亡くなって葬られたのが、この久能山東照宮です。そんな訳で、わが「臥龍梅」ともご縁のある神社です。一同、権現造で有名な社殿の前で柏手を打ち、酒造りの気構えを新たにしてまいりました。普段は静かな神社ですが、さすがに参拝客でごったがえしておりました。海抜300メートルの険しい山の頂にあるこの神社には、深い渓谷を隔てた日本平の山頂からロープウェイで行くのですが、ゴンドラに乗るのに30分の順番待ちでした。ついでながら、日本平の山頂からは晴れ渡った空を背景に富士山が絶景でした。ところで、2枚目の写真をご覧下さい。なぜかその頃、麹屋の神谷は灼熱の地、タイはバンコクのエメラルド寺院で醸造祈願をしていたようです。
東南アジアの話が出たついでにご報告しておきます。昨年末、日本酒類販売鰍フ国際事業部の担当者の方からメールが送られてきました。シンガポールの日本料理店で「臥龍梅」が提供されている写真です。価格がシンガポールドル90、日本円換算、約6,300円と聞いてびっくりしました。このほか、昨年からマレーシアにもぼちぼち輸出を始めており、今年はアメリカにも輸出を開始する予定です。
さて、滋賀県の近江八幡の農協から「短かん渡船」の稲が送られてきました。「滋賀渡船6号」というのが正式名称ですが、写真で蒸番の畠山君が左手に持っているのがそれです。ちなみに右手に持っているのが滋賀県産山田錦です。長尺種の山田錦に比べてさらに20センチ以上丈が長いのですから、作り手の苦労もさぞかしと思われます。それだけに、このお米でどんなお酒ができるのか、今からわくわくしております。

今年はあらゆる意味で「臥龍梅」飛躍の年とすべく、蔵人、従業員一同頑張っていく所存です。どうか皆様、引き続きご指導、ご鞭撻賜りますようよろしくお願い申し上げます。

寒さのおりから、おかぜなど召しませぬように。                      敬具
平成18年正月吉日 

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